少しずつ――
少しずつ。
空気が暖かくなってきて――
もうすぐ、2月も終わり。
おうちのお庭も――
陽あたりのいい午後は、
少しだけ春のにおいがしています。
今日は、少し元気だったので、
みんなが学校に行ってしまった後で――
お雛様のお支度をしました。
お人形の飾り付けは、
去年から、ユキのおうちでの大切なお役目です♥
おうちでは女の子たちのみんなが、
いくつかのお役目を持っているけれど――
ユキはあんまり丈夫じゃないし、
入院しておうちにいられないこともあるから――
お役目はとっても少ないの。
ユキね、たまに――
お料理の上手な蛍お姉ちゃんや春風お姉ちゃんのこと、
すっごくうらやましいなって思ったりします。
2人の作ったご飯やおやつ、
みんなみんな大好きで――とくに
青空ちゃんや虹子ちゃんがおめめをキラキラさせてるのを見ると、
ユキもあんな風に――
みんなに美味しいお料理作ってあげられたらな
って思っちゃうの――
でも――そんな中で、お雛様のお支度は
ユキの数少ない大切なお役目です♥
姉妹みんなの大切なお雛様。
大事に丁寧に――箱から出して、衣装やおぐしをととのえて。
大きな緋毛氈の段飾りに並べたら――
さいごに桃の花を飾って、甘酒をお供えしてできあがり。
ちょっぴり一口だけ――
白いお酒の味見をしたら、
甘いふんわりした味といっしょに、
舌の上がつんとして――
ふわふわ――
不思議な気持ちになりました♥
なんだかだれかによりかかりたくなって――
今ここにお兄ちゃんがいてくれたらいいのになって、思って――
少しさびしくなっちゃった。
ふわふわ――
ふんわり。
まっしろい雲の上で――
お兄ちゃんとお昼寝したかったな。