大変……
大変なんです。
お兄ちゃん――
どうしよう――
吹雪ちゃんが――
吹雪ちゃんが倒れてしまったの!!
この何日かあんまり具合が良くないみたいで、
ユキも心配していたのだけれど――。
昨日はとくに様子がおかしくて――
夜はご飯もあまり食べていないみたいでした。
「カロリーをとると発熱するから」
って言って――。
珍しく、少しほっぺたがきれいなピンク色に
染まってみえました――
そして今朝――。
朝ご飯の時間が終わろうとしているのに
なかなか起きてこない吹雪ちゃんを心配して
起こしに行った星花お姉ちゃんと夕凪お姉ちゃんが――
「きゃーあああ!
大変大変!!
吹雪ちゃんが――っ!」
2人とも大あわてで食堂に走ってきて――。
本当にみんなビックリして――
あわてて、星花お姉ちゃんたちのお部屋に行ったんです。
ベッドに横になってパジャマのままの吹雪ちゃんは、
すごくきれいなお顔で、
じーっと少しも動かずに眠っていました。
麗お姉ちゃんが体を揺すっても、
立夏お姉ちゃんが大声で叫んでも、
氷柱お姉ちゃんが軽く頬を張っても――。
陶器で出来たお人形のようにじっときれいなまま――
ユキは少し怖くなって泣きそうになってしまいました。
なんだか――イケナイものを見てしまったような気持ちがして。
そんなユキの気持ちが伝わっちゃったのかな――そうしたら
青空ちゃんまで泣きそうになっちゃって――
だから、青空ちゃんをおひざにだっこして
ぎゅうってしてあげて――
そうしたら−−青空ちゃんから甘いミルクの匂いがして――
ユキも少し気分が落ち着きました。
その後、霙お姉ちゃんが、みんながこの部屋にいると騒がしくて
ますます吹雪ちゃんが悪くなると言ったから、
霙お姉ちゃんと春風お姉ちゃんだけが残って、
みんなはお部屋を出ました。
霙お姉ちゃんは――このまま任せておいてくれれば大丈夫って
後で教えてくれました。
でも――絶対部屋に近づいちゃイケナイよって――。
吹雪ちゃんはすっごく頭が良くて、
ユキなんてちっともわからないことをいろいろ知っているの。
だから、きっと特別なところがあるんだと思うんです。
早く――吹雪ちゃんが良くなりますように。
吹雪ちゃんが――辛い夢を見ていませんように。
お兄ちゃんも――吹雪ちゃんを助けてあげてください。