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名前: mizore
2008年4月14日 (月)
浮揚

もうそろそろ――
新しい環境にも慣れたか?

――ん?

新しい学校のことだ、もちろん。

新しい家族には――
もうすっかり慣れただろうからな。

フフ――。

春はなにかと落ち着かない季節だ。

新しい学校、新しい学年、新しい環境――

妹たちも――みな、どこか浮き足だって、
ソワソワと落ち着かない様子をしている。

ただ、制服が変わっただけ――
ただ――バッジにつける小さな数字が変わっただけで。

勝手に感じてしまう――

嬉しいような不安なような、
これから何かが起きるような期待感。
わけもなく――
何かとんでもないことがやってくるような
期待と不安で胸を躍らせて――

そう、きっとオマエまで――。

愚かなことだ。

そんなことは――何も起こるはずがないのに。

私たちは――
滅びてこの宇宙の塵となるまで、
淡々と、ただこの日常を続けるだけだ。

その日常に起こる有為変転など――
本当に些細なもの。

私の魂は――そんなことでいささかも変わりはしないし、
影響を受けはしない。

ただ――
ただ、この家族とともに、
永遠に滅びる日を待つのみだ。

……

ただ――
ただ、ほんの気まぐれに。

日々の退屈を追いやるために――
この興奮の中に身を置くのも悪くはないと思う時もある。

オマエは今――

興奮しているか?

それならその興奮を――私にも少し、分けてもらおうか。

フフ――♥