新しいくつを買ってもらったの。
つるつるしてて、とってもキレイなピカピカの赤いくつ。
レースにお花のししゅうのソックスと一緒にはくの♥
かわいい?
ね、いいでしょう――
あら。
フェルゼンたら。
なんだかよだれの出そうな顔をしていてよ?
そんなに――
うらやましい?
そう?
でも――
あーげーないっ♥
ウフフフフ――
だめよー、これは小さな女の子用のおくつなんだから、
フェルゼンはもらったって履けないでしょう?
おバカさんね?
それにマリーだって、
まだ前のおくつがあんまり小さくなってないのに
買ってもらうのすっごいタイヘンだったんだから!
新しいクラスになって
お名前のところも書き直さなくちゃいけないからって
お願いしたとき、
海晴お姉ちゃまはニコニコしてすぐにいいって言ってくれたのに、
蛍お姉ちゃまが――
……まさか覚えてるなんて思わなかったんだもの。
お正月前に新しいよそゆきのおくつを
マリーが買ってもらってたこと――
でも蛍お姉ちゃまには結局、
ずっとずっと大事にすることってちゃーんとお約束して、
それからたくさんお手伝いすることもお約束して、
それからなるべく妹たちとけんかしないことも、
それからそれから毎日きちんとお行儀よくすることも――
もうとにかくたーくさんいっぱいお約束して、
やっと買ってもらったんだから――
あ、でも、
もし、フェルゼンが自分も新しいおくつが欲しいなら
マリーも一緒に行って頼んであげてもよくってよ?
マリーはそういうの、得意なんだから♥
あ――ねぇ、フェルゼンは知ってる?
女の子のおしゃれはまずくつが1番だいじなのよ。
だからね、おくつを新調したレディーには
すっごい誉め言葉をくれなくちゃ!
新しいおくつがとってもにあうマリーは
まるで女神様みたいにキレイだよ――
とか、でもそんなおくつが負けて見えるくらい
マリーはカワイイよ、とか――
ね、ほら、早く言ってみて!
うまく誉めてくれなかったら――
もう――
踏んづけちゃうんだから!