page: post-124.html
名前: hikaru
2008年5月26日 (月)
2人だけの秘密

金曜日は――

……

あ、ありがとう――

……

あはははっ♥

なんか、照れるな、こういうの――。

でも――

良かったな。
結局誰にもバレなかったみたいで――

約束通り、家に入る前に庭のあずまやで待ち合わせて
こっそり着替えられたし、
ちゃんと時間差で帰ったから――
もうあの時間には夕食の支度でキッチンにいた
春風や蛍たちにも何も言われなかったしな――。

今思い出してもあの時のオマエ――
めちゃめちゃ焦ってておかしかったけど――

へへ――♥

なんか、けっこう――さ。

――かわいかったよ?

――うん♥

……

ホントはさ。

放課後――

体育倉庫のとこで待ち合わせしてたオマエと会えたとき――
私、少し、ドキドキしてた。

立夏の話に刺激されて――
ちょっとだけ――オマエの制服に興味が出て。
で、自分から言い出したことだっだのに――なんか。
いざ、本番になったら――さ。
え、本当にココで――
2人っきりで――。
着替えしちゃうの――って――。
少し焦っちゃって……。

言い出したときは、ウチで着替えるのと
同じみたいに軽く考えてたから――

汗と日向の匂いのする体育倉庫。
中には私たちの他には誰もいないのに――
まわりには放課後の生徒たちの行き交う気配がいっぱいで――
でも、やっぱり、あそこは――
これ以上ないって言うくらい、
――2人きりの場所だった。

「早く早く――人が来ちゃう」ってオマエをせかしながら――
本当にこんなとこで着替えちゃっていいのかなって、
私は少しだけ思ってたんだ。

でも見ると、オマエは困ったような
あんまり気の進まない顔をしてて――
だから――なんだか――ムキになったのかもしれない。
その顔を見てたら、どうしても――
オマエの制服を着てみたいって思ったんだ。

こんな風に――同い年としてオマエの制服を着れるのは、
私だけなんだからって。

そう思って――。

オマエの制服着て歩きながら――
私ももし男に生まれてたらこんな風だったかな――とか、
オマエはいつもこんな気持ちで歩いてるんだな――とか。
あれこれ考えちゃった。

自分でもよくわかんないけど、
何かすごい想像してた以上に楽しくて――なんでかな。
私、やっぱりオトコに生まれたかったからかな。

それとも――

……

ねぇ。

ホントに――ありがと。

オマエ、優しいな。

……

制服――少しだけ。
オマエの匂いがしてた。

……

金曜日に着てたワイシャツはちゃんと洗濯してから――返す。

だから――

もう少しだけ――

貸しておいて。

ね。

 

baby-0526.jpg