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名前: mizore
2008年6月12日 (木)
好感触

ああ――
なにか浮ついてる様子だな?

オマエ――

やっぱり――気になっているのか?

フフフ。

オマエもやっぱりまだまだ子供だな――

そんな風にソワソワして――。

かわいいヤツ♥

そうだ。
オマエのその敏感な鼻はなかなか信用できる。

今日のおやつは――水ようかんだ。

フフ――いいだろう?

家中に漂うこのアンコの匂い。

深遠な宇宙の存在を感じさせるみずみずしい羊羹色。
もう、そんな季節になったんだなと
時の移ろいを感じさせてくれる――
美しい翠の夏の到来をつげるこのひとしずくの甘い誘惑。
蛍が作る羊羹はなによりもできたてを味わえるという点で、
ある意味どんな店のものにも勝る存在感を――

――ん?

オマエは羊羹に期待をしてそのように
うちふるえているのではないのか?

違う?

昨日から――
星花がすっかり食欲を無くして、
きっと今日は1個余るだろうから――
オマエも好きなら半分わけてやろうかと思ったのだが――。

ああ――昨日は大騒ぎだったな。
夕凪や小雨や麗に加えてマリーや虹子まで騒いでいた。
立夏まであんなにはしゃいで――
あの子もなかなか変わらないな。
もう中学生になったって言うのに。

でも――
ソファから転げ落ちてでも
星花から手紙を奪い取って見せたのは――

見事だった。

星花はあれで運動神経がかなりいいからな。
普段ならすばしこさでは立夏の敵ではないだろうが――
やはりいささか動転していたのだな。

……

ああ――手紙の中身か。

どうしても星花に伝えたいことがあるので――
月曜日の放課後に――
校庭のどこだかに来て欲しいとだけ――
書いてあったそうだ。

うん――

みんなは大騒ぎしていたけど――

あれはラブレターなんかじゃなくて、
きっと、ただの呼び出し状だな――

――フフフ