台風です。
秋の嵐が――
やって来ましたね♥
今年の夏は、
雷がたくさん来て――
とっても――
春風、とっても――
こわかったんです。
だから何度か――
あなたの部屋に行こうかと
思ったこともあったけれど。
春風、夜中の稲妻に光る廊下で――
まくらをかかえて、廊下を行ったり来たりしながら、
ああ、でもやっぱりそんな恥ずかしいこと出来ないって――
ついに――
王子様の部屋のドアは
開けられなかったの――
春風って臆病者ですね♥
これじゃあ白雪姫失格だわ――
ウフフ♥
本当は、今でも――
あの時思いきって入っていたらって思う時も
あるんだけれど――
でも、やっぱり。
あの日はお気に入りの
ピンクのネグリジェじゃなかったし――
初めていっしょに夜を過ごすなら、
王子様には春風の1番かわいい寝間着姿を
見てもらいたいなって思うし――
やっぱりどうしたってあの時の春風には
出来なかったかなって――。
でも、こうやって毎晩の雷と
さようならしてみると――
やっぱり――
ちょっと残念なコトしちゃったかなって――
思います♥
だって、後から聞いたら
にじちゃんたちなんかは
「おにいちゃーん」って
王子様のところに押しかけて、
一緒に寝た日もあったって――
春風――それ聞いたとき、
なんだか遠慮して損しちゃったな、
って思っちゃいました♥
――ウフフ♥
と、いうわけで――ね、私の王子様♥
もう雷の季節は終わっってしまったけれど、
今夜は台風が近づいているし――
もし、こわくなったら――
お部屋のドアをノックしてもいいですか?