page: post-207.html
名前: hubuki
2008年9月16日 (火)
トレパネーション

私の記憶に――
間違いがないのであれば。

確か、あの絵は――

……

やはり――
気になります。

もちろん、私はまだチラリと見ただけですし、
あのように潔癖な麗姉がそんなことをするはずがないとは――
分かっています。

けれど、あの絵は――。

麗姉は何か提出の際に
間違ってしまったのでしょうか?

ああ――
夏の間は――暑さのせいか、
とかく頭の中が霞がかったように
ぼんやりとしがちで――
私も自分のメモリーに
自信が持てないことが多々あります。
きっと――
そのせいかもしれない、ただの、
錯覚――

……

ただ。

やはり見覚えがあるのです。

確か――
夏休みの間に見かけた
あれは――

とあるよく晴れた夏の日の午後。
青空とマリーがリビングで一緒になって描いていた
明るい色のカラフルな空の城のクレヨン画――。

そしてその場にいたのは麗姉と誰か黒っぽい人影。
そしておそらく誰からも気づかれずに、
ソファの後ろで1人で本を読んでいた私――。

私からはよく見えない場所にいた麗姉と黒っぽい人影は、
たしか髪が短くて――

その人が何かを言ったとたん、
麗姉が突然何か怒り出して、
部屋を出て行ったような――

そして残された甘い香り――

……

ああ、やはりどうも――
あの時の記憶が曖昧です。

私はあの時何をしていたのでしょうか。
なぜこの後の様子が記憶から
抜け落ちているのでしょうか?

時計の針を巻き戻して
私の記憶を見ることが出来れば――。

「夏休みの電車絵画コンクール」でもらった賞品は
運転士用鉄道時計だったそうです。

私はこのことを誰かに聞いてみても良いのでしょうか?

キミは――
どう思いますか?