風邪の――季節ね。
バカは風邪ひかないって言うから――
アナタは風邪なんてモチロン――
ひいてないわよね?
そうよね、
もちろん――
下僕の分際で――
風邪なんてひいてたら、
シャレにならないものね?
アナタが風邪ひいて寝てたって、
きっと誰も同情なんてしてくれないし。
そりゃ普段は――
妹たちの子守とか、
電球変えて欲しいとか、
色々家の手伝いがあるから――
下僕として役立ててやろうっていう気が
みんなにもあって、
それでアナタのことあんなに――
チヤホヤしたりするんだと思うんだけど!
でも、風邪ひいて何の役にも立たない
下僕なんて――
本当に本当に――
何の役にも立たないものね?
……
フフフ――♥
良かったわね、バカで。
たまにはいいこともあるものね?
今朝――
新聞で見たんだけど、
チンパンジーって――類人猿でしょ?
やっぱり人間と同じように――風邪に弱いんですって。
それでね、夜食にネギを1本あげるようにしたら――
それまで鼻水とかよく出してたのが、
すっかり風邪知らずになったって。
フフフ――♥
下僕より――
チンパンジーの方がよっぽど高尚よね?
まあ、でも――。
いくらバカだから風邪ひかないって言っても。
この時期は――
むやみにユキのそばに近寄るんじゃないわよ?
行くときには必ず私の許可を取ること!
いくら風邪をひかないからってアナタにウィルスや菌がいないって
いうことにはならないんだから。
私はユキのことは絶対にちょっとでも危険に近づけたくないの。
いい――わかった?
今年は――絶対に入院なんてさせないんだから!
――ほら。
手を出して。
仕方がないから――念のため。
ネギを1本あげるわ――