おーはーよー
ござーいーまーすーっ

どぉーんっ♪

そら、おなかに
のっちゃった！

えへへ――♥

おうまさんだっ。
ぱっかぱっかぱっか。
はいどう
はいどう――

おにいちゃん、
おめめさめた？

あのね――
きょう、おやすみ？

おにいちゃんも
おやすみ？

みんな、
とくべつのおやすみだよ。

そらも！

うれしいな♥
ちょこのおやすみだよ。

おにいちゃん、もっとねる？
そしたらそらも――
いっしょにねる。

もっかい、おふとんはいった！
えへへ――のぎゅ♥

あ！
キリンさんはっけん！！

おはようございます♥
私の――
王子様♥ ♥ ♥

今日のお目覚めはいかがでしたか？
気分良く――お目覚めになれました？

今日はいよいよ――
うふふ♥

恥ずかしくって――言えないわ。

あの――

あとで。

あとで――
みんなから贈り物がありますから、
今日の夜は――
早めに帰ってきて下さいね？

春風――
待ってます。

ずっとずっと――

どんなことがあっても。

いつか王子様が白馬に乗って
春風を迎えに来てくれるのを――

……

いっけない♥
そうじゃなかったですね、
――ウフフ。

今朝のメニューは
バレンタインにちなんで、
ホットココアに
クロックムッシュと
チョコサラダです。

気に入ってくれるといいんですけれど。

お口についたチョコレートソースは
もちろん春風が拭って差し上げます♥

ねぇ、フェルゼン――何してるの？

今日は土曜日。
どこかに行ったりしないの？

そんな顔しちゃって――
どうせ――

ヒマなんでしょ？

フフフ――♥
いいわ！
マリーが相手してあげる。
一緒に遊びましょ。

そうね――
今日は大嵐で――
外には出られないから。
家の中で出来る遊びね。

仮面舞踏会ごっことか、
フィガロの結婚ごっことか、
それともやっぱり――

マリー・アントワネットごっこかしら？

きゃは♥

それなら、やっぱりマリーがマリー役ね。
フェルゼンは――もちろんフェルゼンがいいでしょ？

そうだ、今日は――
バレンタインデーだから。

フェルゼンから愛の告白をすることを許可するわっ。
あら、知らないの？

フェルゼンったら――
フランスではバレンタインは男の子から女の子へ
愛の告白をする日なのよ？

さ――こっちに来て、フェルゼン。
思い切ってここに接吻してもよくってよ――

フフフフフ――♥

おはようございます、お兄ちゃん。

あ――。

マリーお姉ちゃんと
なにか楽しそうなコトして
遊んでる！

おしくらまんじゅう
してるの？

わぁ――たのしそう♥
いいな。

さくらも――
いーれーて♥

おーしくーらまんじゅー
おーされーてなーくな♪

おーしくーらまんじゅー
おーされーてなーく……

……

う、う、うぇぇぇぇん！

おしくらまんじゅう――
おしりいたい――

ぐすん。

さくらって――
おしくらまんじゅう好きなんだけど――
おしくらまんじゅうすると――
すぐにころんじゃうの。

うえぇぇん！

そらちゃんにも負けちゃうの。
今度――お兄ちゃんにトックン
してもらったらいいかな。

そしたらさくら――花だんのフチでやる
どーんじゃけんもきっとすごく上手になって――
転んでパンツまっくろくろすけさんじゃなくなるね♥

にじこね――
バレンタインってしってるの。

それはね――
だーいすきなおにいちゃんに
チョコをあげる日。

チョコはとってもおいしいから――
にじこもほしいけど――

でも、がまん、がまん。

今日はチョコは――
おにいちゃんにあげるの。

おにいちゃんは――チョコすき？
もらったらうれしい？

あのね――これ、
ないしょなんだけど！

今日ね――
お姉ちゃんたちも
みーんなみんな、
おにいちゃんにチョコあげるって言ってたよ！

すごいでしょう！
麦チョコじゃないんから！
ぜーんぶ、みーんな、
ホンモノのおっきなおっきな――
甘くておいしいチョコなんだから♥ ♥ ♥

おにいちゃんすっごい――
いっぱいチョコ食べれるね！
チョコだらけになるね！

おにいちゃんがチョコだらけになったら――
にじ、おいしそうって思って
ペロペロしちゃう、きっと。
えへへへへ――♥

や――！

兄じゃ。

ここにおったのか。
よかった、探しておったのじゃ――。

うむ。
まことに――
言いにくいのじゃが。

わらわはこれから――
なんといったらいいのか、
その――

はじめての――
おつかいに参らねばならぬのじゃ。

なにやら厨で足らぬモノがあるらしくての――
わらわももうそろそろ――
１人でおつかいに行ける頃じゃろうと、
春風姉じゃが言ったのじゃ。

確かに――
それはそうなのじゃが、
実は昨日から連れのキュウビが
雲隠れしておって――

うむ。
キュウビはこのような激しい怨念の飛び交う日は苦手らしくての――
今年はいよいよ逃げてしまいおった。

わらわもこのような熱気にはどうも弱くての――
おまけに１人での買い物は初めてじゃし――。

兄じゃ、キュウビのかわりに――
わらわに随行してくれぬかの？

もちろん――
手をつないでゆくのじゃぞ！

獲物はたらこじゃ！
今日の昼げは、
たらこスパゲティーとあさりのスープ、
ブロッコリーのサラダじゃによって。

道中、くれぐれもわらわの手を離さぬように。
頼むぞ？

うむ――
これで安心じゃ――♥

みんなで食べる昼ご飯は――
おいしいですね♥

ウフフ♥　

それに今日は――
観月ちゃんとお兄ちゃんで、
初めておつかいして買ってきてくれた
たらこのスパゲッティ！

青空ちゃんやにじちゃんや――
ちっちゃい子たちはみんな
スパゲティが大好きだし、
とーっても、よく食べてますね♥

みんな、お口のまわりがピンク色！

ありがとう、お兄ちゃん――
そして観月ちゃん、とっても
エライのね――♥

ユキなんて――

観月ちゃんよりずっとずっと
大きいお姉さんなのに、
まだ１人でおつかいって
行ったことないの――。

ユキ、ちょっぴり恥ずかしいな……

あ、でも――
うらやましいなっても
思います♥

ユキも――観月ちゃんのマネをして。
初めてのおつかいは、
お兄ちゃんと一緒に行けたら――
うれしいな♥

さくらちゃんが初めてのおつかいに行く前に。
ユキも――がんばらなくっちゃ！
フフフ――うれしい♥

ユキの初めてのおつかいは――
お兄ちゃんのために何か素敵な物――
買えるといいな♥

あ――。

……

こんなところで
顔を合わせるなんて――。

失敗。

見なかったことにしてちょうだい。
前にも言ったでしょ？

私は――
この浮かれモードにのる気はないから。

霙姉様がなんて言ったって知らないわ。

じゃ――失礼。

ふん！

ぬきあし、
さしあし――

しのびあしっ!!

クフフフフフフゥ――♥

やったやった！

抜け駆け作戦、大成功!!

きゃー、やっぱり夕凪って超天才！
超マホウ使い♥ ♥ ♥

お昼ごはんが終わって、
チビすけちゃんたちは、
みーんなそろそろお昼寝の時間だもんね♥

今日は寝かしつけするのに、
春風お姉ちゃんがお兄ちゃんを
ラチってったから――

大チャンス到来――♥

このスキに、
お兄ちゃんの部屋に
忍び込んで――

えへへ♥

お兄ちゃんにかける秘密のマホウの材料を
探しちゃうんだからぁ！

きゃー楽しみ♥

あのポリジュース薬みたいに、
やっぱりマホウのテイバンっていったら、
髪の毛ゲットかなぁ～？
それとも――

あ！

イイコト考えた！

このまま、お兄ちゃんのベッドに
こっそり隠れて――
お兄ちゃんが戻ってきたら――
じゃじゃじゃじゃーん♪
かわいい夕凪ちゃんをプレゼント～♥ ♥ ♥
っていうのはどうかな？

お兄ちゃんきっとビックリするよぉ――
これこそ、夕凪の最強!!
愛のマホウだねっ！

お兄ちゃん、夕凪ちゃん――
どこかで見かけませんでしたか？

お昼ごはんの後から――
どこにも姿が見えなくて、
行方不明なんです！

今日はバレンタインデーだから、
お兄ちゃんに秘密の――
最強マホウをかけるんだって、
昨日から――あんなに
張り切っていたのに――

――あ！
うぅん、ごめんなさい、
なんでもないです！
今のは――聞かなかった事にして下さい！

こんなこと――
勝手に星花が言っちゃったって
わかったら夕凪ちゃん、
きっとすごくがっかりして――

……

でも、星花――ちょっと心配なんです。
夕凪ちゃんって元気ですごくかわいいんだけど、
ちょっぴり張飛様みたいなトコロがあって――

天然っていうか、猪突猛進っていうか――

この前の日記隠し事件の時みたいに、
たまにスゴイことになることあるから――。
もし夜のパーティーまでに戻ってこなかったら、
って思ったら心配で――

あの、お兄ちゃん――
もし、よかったら一緒に探して――
もらえますか？

うわぁ～！
ここが――お兄ちゃんの部屋ですか♥

星花、初めて――入りました♥

個室だし――

置いてある物とか、色とか――
やっぱり――なんだか星花達のお部屋とは
チガウ――感じ。

なんか――お兄ちゃんの匂いがして。

男らしいんですね♥

星花、ちょっぴりドキドキしてきちゃいます！

憧れの御主君様の御寝所にまで出入りを許される、
なんて――まるで第一の腹心みたい♥ ♥ ♥

星花――カンゲキです!!

あ～あ、お兄ちゃんの部屋に遊びに来れるんだったら、
夕凪ちゃんも誘ってあげられたらよかったのに！

まったくもう――
今頃、夕凪ちゃんったら、どこに――

……きゃ!!

――ゆ、夕凪ちゃんっ!?

なんでお兄ちゃんのベッドの中に――
しかも首にリボン巻いて――

ああっ、これ見て下さい、お兄ちゃん！

「夕凪はマホウで白雪姫になりました
おうじさまのキスで目が覚めて――
バレンタインのチョコを上げます！」

あーあ――もう、
夕凪ちゃんってば――

あれ――？
ホントに、寝ちゃってる……

よぅし、それならお兄ちゃんの代わりに星花が――
クフフフフッ♥

「火事場のバカ力」
という言葉があります。

これは――人の精神状態が、
肉体の持つ物理的な限界値を
拡張させるという考えです。

脳が本来の力の10～20％しか
使用されていないと言われるのと
同じように――
通常は筋繊維の崩壊を防ぐために
50～70％しか発揮できない
といわれる筋肉の力を
100％まで爆発的に使わせる状態。

おそらく交感神経、アドレナリン分泌が
関係しているのでしょう。

極限状態におかれると――
ホモ・サピエンスという生物は
通常では考えられないほどの
超常現象的な力を出すことができる。

意外なことにこの事実には
世界中に様々のエビデンスがあるのです。

先ほど――夕凪姉と星花姉が
ひどく興奮して部屋に戻ってきました。

詳細は知りませんが、
愛の最強マホウが発動したそうです。

これも――そのような現象の一つでしょうか？
白雪姫の目覚めのキスがどうとかこうとか――
言っていましたが。

やはり――今日のイベントが２人に著しい興奮状態を
もたらしているようですね。

今日は――なにか家中に
甘いようなムズムズするような
刺激物質が充満しているように感じます。

いえ、私は常態ですが――

……くしゅん♥

私は――

……なぜか急に少し落ち着かない気がしてきました。

もしや私にも交感神経の異常が――？
それは感染性のものなのでしょうか？

胃の上部、みぞおちのあたりが
ウズウズします――

いやーん、バレンタインデーも
もう５時！

もうすぐ――パーティーだネ、オニーチャンッ！
おいしいごちそう、チョー楽しみ。

そうだ！

パーティーでみんなと一緒だと――
目立たないカモしれないから。

今、先に言っておくネ♥

ほら――
もっとこっち来てミ？

恥ずかしがらないで――

ハグハグ♥

ウフフッ。
耳元で言うのって、
なんかくすぐったーい♥ ♥

けど――
ちゃんと言うから、
聞いててネ、
オニーチャン。

リッカの愛の告白――。

……

Ｉ　ｌｏｖｅ　ｙｏｕ
オニーチャン♥ ♥ ♥

リカはオニーチャンのことが
世界で１番だーい好き。

これからずっとずっと２人、
離ればなれになったって、
どんなことがあったって――
オニーチャンが困ったときは
世界の果てからでも飛んできちゃうヨ！
リッカがオニーチャンを守ってアゲルし――
リッカがオニーチャンを抱きしめてアゲル。

だから――
オニーチャンもリカのこと、
世界で１番ラブでいてね？

いつでも、どんなときも
忘れないで。
オニーチャンにはリカがついてるってコト――

だーい好き。
愛してル。

ずっとずっと一緒だよ？

ちゅっ♥

きゃ――、言ーっちゃった、言っちゃった――
なんかもーちょっと恥ずかしくてヤバイから――

チャオ――♥

あ――

お、おおおおお――
お兄ちゃん……

ご、ごめんなさ――
わたし、そんな
全然、のぞき見なんてする
つもりじゃなくって――

……

ただ、廊下をまがったら、
お兄ちゃんと――
立夏ちゃんの姿があって――

何してるのかなって思って見たら
立夏ちゃんがいきなり抱きついて――

ご、ごごごごごごめんなさいっ！

本当に本当に見るつもりはなかったんです！

でも、なんだか――
お２人の姿を見たら、
動けなくなっちゃって――

あの、
その――

……

なんかすごくて、
当てられちゃったっていうか――

……

あ、あの！
立夏ちゃんって、
よく私や麗ちゃんにも
チューとかするし、
そんな――気にしてないですから、
大丈夫です！

そんな――
気になんか――

気にしてなんて、
全然――

……

――あ！
麗ちゃん!?

バカ！
バカバカバカバカ、

バカ―――――ッッッ！

もう――これだから、
男なんて汚らわしくて
信用できないって言うのよ!!

小雨ちゃんをこんなに泣かせて――

バカ！
アホ！
無神経!!

こんなヤツのために、
一生懸命チョコ準備してたなんて――

自分がかわいそうで涙が出るわっ！

いこっ、
小雨ちゃん。

こんなオトコなんかと――
話すことなんかないわよ！

バカよ、本当にバカみたい――
私――こんなヤツのために――

やっと見つけた
ＭＳＥのチョコ
買ったりして――

えいッ！
もうこんなチョコいらない!!

その箱が当たった痛みは、
小雨ちゃんの痛みよッ。

せいぜい反省しなさいよねっ!!

あの、お兄ちゃん――
そろそろ、ごはん――
っていうよりも♥

バレンタインパーティーの始まりです！

今日のメインメニューは、チョコカツカレー！

ウフフ――♥

ビックリしました？

でも、カレーの隠し味に
チョコレートやインスタントコーヒー
使うことってけっこう多いんです♥

甘くて楽しいチョコ入りカツカレー、
食べてみて下さいね！

もちろんみんなからのプレゼントも――

ウフフフフ♥

こうして――
家族みんなで。

きょうだいみんなで、
２回目のバレンタインデーを迎えられて、
ホタ、とっても嬉しいです♥

さっき――なんとなく。
思い出していたの。
去年の――この日のこと。

あのね、ホタ――やっぱり。
当たり前のことかも知れないけど、
去年よりも――みんな、
すごくすごくお兄ちゃんと
仲良くなってる気がします♥

お兄ちゃんのおかげで、みんなが――
もっともっと仲良くなって、幸せで――。

だから、そんなお兄ちゃんに愛と感謝の気持ちを
いーっぱい込めて♥

今日はバレンタインのパーティーです！
楽しんで下さいね♥

だーかーらー！

なんで、不参加表明してるっていうのに、
私がまたカンパイ役なわけ？

……

なによ、ユキまでそんなニコニコしちゃって――。

いいわよ、

あー、もうわかった！
仕方ないからさっさとやる！

家族行事は仕方ないもんね。

ほら、さっさとみんなグラス上げて――

せーのっ、かんぱい！

いいでしょ、これで？

あ、言っておきますけどね――
今日のみんなからのプレゼントの
この全長１メートルの巨大ハートチョコ作りには――

私はいっさい手を出してませんからね！
誤解しないでよね――

今年の――バレンタインは
なかなか良かったよ♥

うん。

なんかホッとするっていうか。
家の中でだけの――平和なハッピー・バレンタイン。

土曜日で――
学校がなかったし。

だから、今年は――
行く先々で――女子達から、
チョコを渡されるなんていう
面倒な目に遭わないですんで、
ホント気が楽だった！

ああいうのって、処分に困るし――
なんか変な気分になるよな？
いきなり好きでもない子から｢好きです｣とかって
もらってもさ――。

私はこれでも一応――女なのに。

オマエなんてオトコだから――
これまでそんな目に散々あってきたんだろ？
ホント、同情するよ――
オンナゴコロなんて言うけど、
なんか意外とメンドクサイものなんだよな――。

……

あ、そういえば――
麗の話――聞いたけど。

チョコ――投げつけられたんだって？
――クスクス♥

良かったな。
それってきっと――
あの子の最高の愛情表現だよ！

麗はそもそも人に物をあげるようなタイプじゃないし、
嫌いなヤツは無視して終わり、だから。

でも――
それにしても――

何かオマエらしくて笑っちゃうな！
バレンタインに顔面チョコ投げつけられるなんて――
ぷっくっく――♥

そんなんだったら、私もチョコを用意して
やってみたかったよ――

もう――こんな時間か。

オマエは――もたれてないか？

チョコカツカレー……。

あれは――ちょっとな。

蛍には一応、それはどうかと思うって
言ったんだが――。

たまに――そうだな、
１年に１回ぐらいあるんだ。

蛍が奇妙な料理を思いついて――
しかもそれを断固押し通すときが――。

せめてあんこ料理にしてくれればいいのに。

あんこは――いいぞ？

いちご大福とかクリームあんみつとか、
意外にコラボ上手なんだ。

その点、チョコレートなんて――
基本はそのまま喰うものだろう？

ああ――やはり、
あんこは宇宙の色に似ている――。

そうだ。

私から――
オマエにいいものをやろう。
今日も――
麗やら氷柱やらの跳ね返りに当たられて、
それでもちゃんと“お兄ちゃん”してた
オマエにご褒美だ。

この１年で――
成長したな、フフフ。

私の初めての試み――
あんこチョコだ。

１人で菓子など作るのは――
初めてのことだからな、
腹をこわさないか自信はないが――

私もたまにはかわいい弟に何かしてやりたくなったんだ。
思い切ってひとくちでいってみろ。

あ、ちなみに、それ――
1つしか作らなかったから、味見はしてないぞ。

私に味見させたいなら――
方法は１つしかないな、フフフ――♥

あ、お兄ちゃん――。

もうお風呂すみましたか？

あの――

ご、ごめんなさい――
もう寝る時間なのに、
廊下で待ってたりして。

それに小雨、パジャマ姿だし――
お行儀悪くて、ごめんなさい。

でも本当なら、小雨はもう10時には
寝てなくちゃいけない時間だから――

これでもこっそり――
抜け出してきちゃったんです。

――エヘヘ。
小雨にしてはがんばりました♥

だって今日あんまりパーティーの時、
お兄ちゃんとお話しできなかったから――
なんだか心残りで……

あのね、お兄ちゃん。
本当は小雨も立夏ちゃんみたいに――
あんな風に格好良く――
気持ちを伝えられたらいいんだけど――

……

お兄ちゃん――
いつもどんくさい小雨でごめんなさい。
でも――あの――
こんな小雨でも――

……

お兄ちゃんのそばにずっとずっと一緒にいたい気持ちは――
立夏ちゃんにも負けないつもりですっっ!!

……

それだけ――どうしても今日中に言いたかったんです。
ごめんなさい♥

あ、それから――
麗ちゃんから伝言です。

「あなたにあげたＭＳＥチョコ１つ残しておいてね。
明日私の分のＶＳＥと交換してほしいから｣
だそうです――。

ウフフ――きっと本当は一緒に
食べようと思ってたんですね、麗ちゃん。
ほんと、意地っ張りなんだから――♥

あ、立夏ちゃんは――もうとっくにぐっすり寝ています♥

お兄ちゃん――
小雨、なんだか今日は――
立夏ちゃんのおかげで勇気が出て
いつもの臆病な小雨じゃないみたい。

お兄ちゃんに気持ちを伝えられて――嬉しいです。
バレンタインって――本当に素敵ですね！
小雨みたいな子にもチャンスをくれて――。

お兄ちゃん、それじゃあ――
おやすみなさい♥

良い夢を見られますように――

はぁ～♥

２回目のバレンタインデーも、ようやく――
無事に終わったわね？

ウフフフ――どうだった？

楽しめた？
それとも――疲れた？

初めてのバレンタインと
２回目のバレンタイン。

たった１回、回を重ねただけだけれど――
それでもう私たちの絆は２倍になったんだと思うの♥

これからもこんな風に――
バレンタインデーが来るたびに、
私たちの愛情の歴史は、
３倍、４倍、５倍、６倍って――
どんどんどんどん増えていく。

家族って――
不思議ね。

毎日を一緒に過ごして、
毎年同じイベントをして、
いつも同じ理由でケンカしたり、
同じ理由で喜び合ったり――
日常ってそんなに刺激的なワケじゃない。

でも、そんな中に幸せがたくさん詰まってる♥

こうして一緒に――
同じ空を眺めて、
同じ花の香りをかいで、
同じ物を味わって、
同じ夜を過ごして――
そしてまた――
一緒に春を迎える。

それこそが最高の幸せ。

キミが我が家に来てくれて――
私たち19人に１つづつの幸せをくれたから。

私たちの幸せの数は――
１つだけなんかじゃなくって。
一気に19個も増えちゃった♥

キミがそこにそうやっていてくれて――
私たちを見てくれているだけで、
私たちは幸せになれるの。

そんなキミに――最大の愛を込めて♥
いつまでもそばにいるわ――

おやすみなさい♥

自分でもバカみたいって思うけど。

それでも渡すのが１ヶ月早い分だけ――
去年よりはマシよね。

どうしてこういうことになるのか、
自分でもよくわからない。
誰かに怒られたワケじゃないし。

ただ――

眠れなかっただけよ、きっと。

……

それだけ。

みんなに内緒で――
ユキが作り方を教えてくれた
生チョコは――

２日しか持たないんだって。

だから早く渡さなきゃって――

……

私――あなたのこと嫌いだわ。

いつも私をこんな不機嫌にさせて――

ダイダイ大嫌いよ――