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名前: mituki
2009年3月26日 (木)
桜の下には――

やあ、もう
ずいぶん――

桜の花がほころびはじめたのう。
我が家の裏山に1本だけある桜の古木も――
だいぶん花が目立ち始めたようじゃ。

兄じゃは――
知っておられるか?

桜の下には――

しかばねが埋まっておる、
と――

古くからよく言うらしいがの。

……フフフ♥

我が家ではもちろん――

そんなことはないぞ。

この季節。
桜の下には――
おのがかばねを探して歩く
死霊の姿などはなく――

春の宵闇に
うすくもも色に
浮かび上がるのは――
芳醇な春の空気に
浮かれて酒宴をはる、
小さなモノノケどもの
ふわふわと酔ったような
あり様だけじゃ。

なかなか――かわゆらしいものぞ♥

わらわのともをしてくれておるキュウビも――
この季節にはソワソワとして
そんな酒盛りに
参加したくなるらしいがの。

わらわは夕べ。
みてしまったのじゃ。
裏山にある桜の木の下で――
なにやらうごめく
2つの重なった大きなモノノケの黒い影を――。

あのような得体の知れないモノがいたのでは、
キュウビを連れて行ってやるわけには行かぬかもしれぬ。

桜の季節は何が起こるかわからぬ、
逢魔の季節でもあるのじゃ。
兄じゃも気をつけなされよ――