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名前: mizore
2009年5月12日 (火)
接触

誰が何と言おうと――

臭い物は――

臭い。

そうだな?

それが――
この世の真理。

オマエももちろん。
そう思うだろう?

私は――

ごまかしはキライだ。

この世に現実は一つしか無く、
それはいつもこの宇宙の塵のように
儚く、意味がない。

一切の欺瞞やごまかしは――
この宇宙の常闇の下に照らされ
暴かれているのだ。

知っているか?

ニオイというものは――
嗅覚受容体に分子が結合することによって
感知される。

つまり――

何かの匂いをかぐと言うことは、
鼻の粘膜にその対象物の一部の分子が
実際に接触するということだ。

例えば――
海晴姉の香水の匂いをかいだら
その海晴姉の香水の分子が。

また、甘いあんこの匂いをかいだら、
そのかぐわしいあんこの分子が。

そしてオマエの匂いをかいだら、
オマエの出す分泌物--
汗やら皮脂やらの分子にくわえて――
きっとおまえ自身の細胞の一部が――

鼻の粘膜に接触しているというわけだ。

直に――触れあってはいなくとも、な。

フフ。

春が来て――そのうち、梅雨。
ついに和菓子屋の店頭のかしわ餅も
見かけなくなって――

……

ニオイが強くなるのは仕方のないことだと、
オマエからもヒカルに言ってやれ。

実際問題、汗をかけば
ニオイが出るのは当然のことだ。
そんなくだらないことで悩む必要はない。

かしわ餅の中身が、すべて
みそ餡であったことに比べれば――