よく、世界最小の生物である、
などと言われますが。
ウィルスが――
生物であるのか、
それとも非生物であるのかは、
まだ意見が分かれるところ
だそうです。
現状では原核生物を境に――
非生物であるというところが
一般的であるようですが。
細胞質を持たず、
核酸を1つしか持たず、
エネルギー代謝をせず、
ただ――
ゲノムをコピーするため
だけに存在する
生命も意志ももたない
――非生物。
それでいて――
常に変化と進化を続け、
ウィルスの――
存在、増殖することへの
飽くなき活動は
止むことがない。
ただただ、存在するためだけに――
存在する、
非生物。
……
私は時々、その構造に
親近感を覚えることがあります。
変――でしょうか?
エネルギー産出の活発な
自己に比してあまりに巨大な生物に寄生し
自己を保存、増殖をし続ける非生物。
最後には宿主を滅ぼしてしまうまで
増殖を止めないその単純構造の、
存在意義は――
……
でも、ウィルスを排除することは
意外に簡単です。
基本はタンパク質を破壊するために
界面活性剤を使用するだけ――
つまり、石鹸での手洗いです。
ですから、麗姉もそんなに恐れずとも、
今、世間で言われているように、
電車に乗るときはマスクをし、
手洗いを励行すればよいでしょう。
小雨姉のバースデーケーキを買いに
行ったときのように――
はい。
キミも――気をつけてください。
話題のインフルエンザだけでなく、
ウィルスの侵襲の脅威はきっと――
あらゆるところにあるのですから。
家内にウィルスを持ち込まないためにも。
ヒカル姉が学校でしたというような、
衣服の貸し借りや肉体的接触は厳禁です――