夏の夜は短い。
しかしそのぶん――
夜の闇も濃く強くなる。
じっとりと――濡れたように湿って強く濃く――。
そっと、こう――指の先で触れるだけで――飲み込まれてしまいそうな。掌にのせれば握ることのできそうな――
そんなドロリとねばついた甘い蜜のような、
漆黒の――夏の闇。
フフフ♥
ウキウキするのう!
そんな闇を見ていると、この魑魅魍魎の跋扈する――いや、さもなくば、さかしまに――迦陵頻伽の響きする、
この真黒な闇にすっぽりと飲み込まれて――少々キケンな遊びなどしてみたいと――
……
思わず思ってしまうのじゃ。
ククククク♥
戻って来られるかどうかは兄じゃの力次第かの。
どうじゃ?今宵あたり。
皆には内緒で――わらわと危険な夜遊びをして見ぬか?どんなおどろしい怪物がかかるかは――
お楽しみじゃ♥