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名前: mizore
2009年10月21日 (水)
不穏

未来とは――
無数にあるもの。

私はパラレルワールドなどと
いうもの信じる者ではないが、

――しかし。

本来、可能性の数だけ
未来という物は――

存在するのだと思う。

きっと私達姉妹にも――
様々な可能性があったろう。

例えば、姉妹の人数が
半分以下であった可能性。
海晴姉と私が
2人姉妹であった可能性。
逆に私の方が――
末っ子であった可能性。
さらに新たな姉妹が
増えてしまう可能性。
何人かが男だった可能性――

そしてヒカルが――

……

いや、オマエが。

オマエが我が家に
存在していなかった可能性――。

たとえ、この私の目には
あらがいのようのない
ただ1つの未来の現実が
映されていたとしても――

可能性という物は
無数に存在していて

そのどれが選ばれて現実となるのかは
常に私達には計り知れない、
なにかとても大きな――いや、あるいは。
とてもささいな理由で決まっていくのだと思う。

ああ――儚い
この世界。

運動会が終わって
秋も深まり――
なぜだか我が家に
不穏な空気が満ちているのを感じる。

発信源は――

氷柱か?

アイツはきっと――
いつもいつも。

心の隅で、綿雪が病気に
なっていなかった可能性を
追い求めているのだろう。

現実の未来を知らずに。

ああ、無駄な努力をこそ――

人は愛と呼ぶのかも知れないな。

私には氷柱を止めることはできない。