page: post-535.html
名前: hubuki
2009年12月 9日 (水)
エビデンス

たしかに――
私は思っていたのです。

あれは――12月5日、
土曜日の夜。

春風姉の誕生日を祝う
パーティーをしていた
時のことです。

蛍姉と小雨姉が
メインになって焼いた
大きなバースデーケーキに
春風姉の年の数だけ――

ロウソクを刺していた麗姉は
突然クラリとかすかにふらついて、
言ったのです。

「みんなが集まって――
 ケーキを囲んで
 盛り上がってるせいで、
 なんだか急に――
 部屋が熱くなったみたい」
 ――と。

そして何本刺したか
わからなくなったと言って、
わざわざ私に――既に刺した
ロウソクの本数を数えさせました。

その時ささっていたのは
まだ14本でしたから、
見れば――一目でわかったはずなのに。

「私は吹雪ちゃんと違うから
 そんなの一目じゃわからない」
という麗姉と交代して、
その残りを刺すために
ロウソクを受け取った時、
ふと触れた麗姉の手が――

チリリと。

まるであさひの手が
触れたときのように
痛く感じられたのはやはり――
私の錯覚ではなかったのです。

普段は姉妹の中でも
比較的、体温の低い――
麗姉のことですから。

あの時から異常の兆しは
あったということですね。

気がついていたのなら
早く言えば良かったのに――と
後から氷柱姉に言われましたが、

しかし――

軽はずみに仮説を口にするのは
良くないことですから。

はい、もちろん――
麗姉は今日は1日
部屋で寝ています。

発熱は現在摂氏38.7度。
渋谷へなどいけません。

何か今日は、どうしても――
行きたい理由があったようですが。

仕方がありません。

最近、学校では、
インフルエンザに加えて
ノロウィルスも流行しています。

検査は明日だそうですが、
キミも――
うつらないように
気をつけた方が良いです。

もう――遅いでしょうか?