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名前: mituki
2010年2月10日 (水)
雪の匂い

――クン、

――クン。

ふむ。

やはり何やら――
遠く山から吹いてくる
風の奥の方に――

かすかに冷たい匂いがする。

冷たく湿った――
薄墨色の冬の匂い。

これはやはり――

今年2回目の――

雪雲の兆しであろうか?

して。

兄じゃは――
知っておるかの?

雪女というものは――

大変――

嫉妬深い。

じゃから、古来、
すべてのおなごは――
冬の雪山に入ってはならぬし、

オノコは、おなごの匂いのするモノを
持って雪山に入ってはならぬ、
ということになっておったのじゃ。

雪女が嫉妬して――
そのオノコを連れ去って
しまわぬように――な。

兄じゃよ――

気をつけるがよい。

なにやら不穏な気配が――
到来している。

ほれ、キュウビを見てみるがよい。

先ほどから急に逆立って――
まるで、針山のようじゃ。

触ると、ビリビリと指先がしびれ、
バチバチとおもしろいように――

火花が飛ぶぞ♥

フフフ。

どうも――
兄じゃは雪女のような
キツイおなごに――
好かれそうな顔をしておるからの。

雪の到来とともに――
雪女にさらわれぬように。

雪山で永遠に暮らすのは――
寒いぞ?

それにわらわたちの兄じゃを――
雪女などに取られてなるものか!!

のう、兄じゃ?