page: post-635.html
名前: mituki
2010年4月 6日 (火)
舞い散る。

咲きそろった
桜の花が――
いよいよ風に
舞い散り始めて。

毎年やって来る
見慣れた光景とはいえ――

うむ。

吹く風に舞い散る
儚い桜の小さな
白き花びらは
まるで――

この世に散らばる
妖かしたちの
微かな命のかけらのよう。

その踏みしだかれた
小さなかけらを
春の少しだけ冷たい風が
全て吹き寄せて――

彼岸の向こうへと
連れ去ろうとでも
するかのように。

春の舞い散る桜の景色は
やはりなぜだか――

わけもなく。

胸の痛くなる
景色じゃのう――。

兄じゃもそうは思わぬか?

わらわもこうして――

散りゆく花の風に
巻かれていると――

いつになく妖しい心地がして。

ふわりと――

旅立ってしまいそうになる。

行けば戻れぬ、
常世の川の眼鏡橋。

いつの間にか、
目の前に現れて――

……

フフフ。

彼岸彼方に行くときは
願わくは兄じゃもともに――。

美しきあの世の景色を
ともにみようぞ?

きっとカ・イ・カ・ン、じゃ――♥