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名前: mituki
2010年10月28日 (木)
うろ

世に――

おそろしきもの。

それはこの世に存在する
数知れぬうろの数々――。

洞、
虚、
空――

呼び方はさまざまあれど――
どれもその持つ意味と力は――

同じじゃ。

それは何もない様でいて、
すべてをふくむ――
巨大な空白。

それはいつも――
異界への入り口なのじゃ。

うろはそこここに存在する。

巨岩にうがたれた大きな洞窟や
巨大な神木に開いた大きなうろ、
虫の巣喰う巨大な砂地の穴など――

いかにもおどろな――
うろのほかにも。

わらわたちのほんの――
身近な場所にも。

この世と異界とをつなぐ、
暗き穴はつねにある。

押し入れの隅にある真っ暗な隙間、
裏口の古い扉のサビのついた鍵穴――
飲んだ後の缶ジュースの飲み口に
さくらの破けたパンツの穴――

そのどれもが――

どこと繋がっているとも知れぬ、
異界への入り口なのじゃ。

その気があれば、
じ――と。

覗いてみるとよい。

その暗闇の向こうから、
むくむくとなにか、
うごめくものの気配が――

……

ふふふ♥

そんな――わけでの。

夕凪姉がさっき脱ぎ捨てた――

ハロウィーン用の帽子。

逆さまになった、
その三角のとんがり帽子の
真暗きうろの中に――

妖しい気配を感じたのじゃ♥

もしや――
姉じゃはついにマホウとやらの
術を完成させたのかも知れぬ。

さすがは――我が姉上様じゃ♪

 

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