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名前: mituki
2011年4月 6日 (水)
満開じゃ!

桜の花が――

満開じゃ!

やれ、嬉しや。

時は巡りて――
今年も出会おうた
うす桃色の――
花の雲。

美しく――
儚く。

まったく――
世にこれほど
わらわ達の心を
揺すぶるモノがあろうか?

この花の散る
一片ひとひらが――
儚い命のようにも思え、

そしてまた――

この例えようもなく
美しい花の雲海の
向こうにこそ――

かの――
極楽浄土がある
ようにも思える。

神と仏のおわします
限りなく美しき
永劫の地――

まったく――
こうして桜を眺めていると、
その地へ向かってふわりと――

体が浮いてしまいそうになる。

フフフフ♥

じゃが――

この花の海を超えて――
浄土に渡ってしまうには

わらわにはまだ――
早すぎるようじゃ。

ほれ、わらわの後ろを
こうして振り返って見れば――ー

わらわの体から伸び出る――
赤い糸。

うねうねと蔓のごとく伸びて――

ほれ、見い――
兄じゃにつながれておる♥

これが――縁じゃ。

縁あって――
この世に生まれたわらわは――

この世のつとめを果たさねば――
浄土に渡ることはできぬのよ。

さればこそ、今はこうして――
このいつもよりも少し暗い
本当の夜桜を――眺めていよう。

兄じゃは木登りは得意か?

わらわを少しでも高いところに――
のぼらせてたもれ!