page: post-992.html
名前: mituki
2011年8月19日 (金)
一転

やれやれ!

今日はまた急に――
ひどい降りじゃったの!

「いないいないばぁっ!」やら
「おかあさんといっしょ」やら
朝からみんなで楽しく
踊りながら見ていても――

テレビの画面に出てくる――

けいほう、けいほう!

庭を見ようと目を向ければ――
ガラス窓を流れ落ちる雨の滝。

その向こうにボンヤリ見える
庭の様子は昨日の――
大地も燃えてひび割れそうな
日照りの乾きから一転――

水たまりの海、
泥色の大洪水じゃ!

まるで天の水瓶の
底が抜けたような、とは
このことか――と
思わせるような――

大雨。

もしや、昨日の
わらわたちの水まきが
呼び水となって――

この大雨を呼んだのでは
ないじゃろうな?

ふむ――

兄じゃは知っておるか?

この世のありとあらゆるもの、
離合集散の常を持っておれば、

時にモノノケというものは――
良きものも悪きものもみな
寄り集まる性をもっておる。

この夏もよく――

庭のあちこちにボンヤリと
黒くもつれておる毛糸玉のような
モノノケの姿を――
兄じゃもよく目にしたであろ?

あのようななんの力もない
名も無きうつろな者どもも、
孤独は寂しいと見えて――

2、3のものがふと群れ合えば、
あとは急に多くが寄ってきて――
あのような目に見える
力を持つものとなる。

悪運は寄り集まりて
祟りをなし――
良運は寄り集まりて
富貴をなす。

家の片隅にはまっくろくろすけが
寄り集まり――
兄じゃのもとへはわらわたち姉妹が
寄り集まる――

フフ♥

そして頭上の黒雲は寄り集まりて――
嵐をなす。

背に乗せおる猛き雨の神の
宴のために――。

この雨神の宴が――

大地の夏の乾きを癒す程度で
終わってくれるとよいのじゃが。