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名前: mituki
2012年2月 6日 (月)
家中異界

寒い。

なんだか――

無性に――

寒いぞよ。

なぜじゃ?

今日は――
久方ぶりの雨も降り。

ややも――
しのぎやすい陽気じゃと、

小雨姉じゃも朝から――
言うておったに。

こたつにぬくもって
おっても――

こう背中をゾクゾクと
はい上るこのさむけ。

ああ、もしやこれは――

おんぶおばけか?

――くす♥

いやいや、今日――
幼稚園で読んでもらった
お話に出てきたのじゃ。

おんぶおばけ。

なに、読んでみれば
ただのさびしんぼうで――

人の背にとりついて――
ぬくぬくと温まっておるだけの
かわいらしい物の怪の
お話であったが――

取りつかれた人間は
その分の温みをとられて
ちょっぴり風邪をひくという寸法じゃ。

まあ、そんな
かあいらしい輩は
座敷わらしと同じで――

ただ一緒に遊んでやれば
すっかり楽しくなって――

ちーっとも悪さは
しないですむ
気のいいものたち
なのじゃが――

うむ。

そしたら――

どうじゃ♥

もしやわらわに本物の
おんぶおばけが
取りついておるとして――

ひとつ兄じゃも――
わらわとそやつと――

一緒に遊んでたもらんか?

ほぅら、わらわの背に――
わらしの姿が見えてきたじゃろう?

これで――
もう兄じゃも――

ここより逃れ出ずること
あたわず――じゃ。

なに、そやつの気が
すむまで遊べば――

元いた場所へと自然と
帰っていくじゃろう。

それまで――
この部屋の中で――

わらわと2人、
流れ去らぬ無限の刻を――

遊びつくすのじゃ――♥