昨日で終わっちゃった――
家族日記。

でも――
その最後のページの――

その後に。

見つけちゃった。

この白い――

余白の数ページ♥

このまま真っ白に
しておくのも――

もったいないから。

私、蛍が――

ここに今の自分の気持ちを――
大好きなお兄ちゃんのために――

こっそり書いて
おくことにします。

ホタの秘密のメッセージ。

きっと――

お兄ちゃんの目には――
永遠に触れることが
ないのかもしれないけれど――

でも――いいの。

誰にも言えない――
でも誰かに言わずにはいられない――

ホタから最愛のお兄ちゃんへの
秘密のメッセージ、だから――。

お兄ちゃん――
長い間本当に本当に
ありがとう♥

ホタは――いつも優しくて
かっこいいお兄ちゃんのことが
本当に大好きです！

世界で１番大好きな
お兄ちゃんの――

妹に生まれたことを
恨んだ時もあったけど、
でも――

やっぱり蛍はこうして――
お兄ちゃんのそばに家族として
生まれてこれて――よかった♪

いつまでもお兄ちゃんの
かわいい妹でいられるように
がんばります！

これからもずっとずっと――
よろしくね♥

お兄ちゃん、大好き♪

 

終わっちゃった日記が
どうしても名残惜しくて――

こっそり見に来たら、
偶然見つけちゃった――

蛍お姉ちゃんの
メッセージ。

何か悪いことをしているみたいで
ドキドキしながら――

それでも読まずにいられなくて
読んじゃったら――

なんだか――

小雨の気持ちも、
本当に蛍お姉ちゃんと
一緒だなあって思って――

そのことがこんな風に
上手に伝えられるお姉ちゃんのことが
うらやましくなりました。

小雨が――
蛍お姉ちゃんみたいな
ステキな女の子になれるのは
果たしていつのことになるのか――

きっとずっとずっと先のことに
なると思うけれど。

でも――お兄ちゃんを
大好きな気持ちはやっぱり
小雨も同じだから――

小雨もここに書いて――
お兄ちゃんに誓います♥

小雨はお兄ちゃんのことが大好きです。

お兄ちゃんとずっと一緒に
いたいから――

将来もお嫁には行きません。

だから、お兄ちゃんのそばに
ずっとずっといさせてください――

小雨のこと、好きになって
くれなくてもいいから――

ただ、妹として――
小雨はお兄ちゃんのそばに咲く
小さな花のようでいたいです♥

長い間本当にありがとう
ございました――♥♥♥

 

 

チャオ～♥
チャオチャオ～♥♥

ヤーン、
もうなぁーんか
サッキから
小雨ちゃんが

ソワソワして――

アヤしい動きをしていると
思ったラ!!

ジャジャ――ンッ☆

ズルイッ♪

アトをつけてみたら
なぁーんと！

こっそりコーンナ
ズルイことしてタなんて――♥

クフフフフゥ――☆♪＃

なかなかヤルな？
小雨ちゃんメ――

小雨ちゃんのクセして
これはなかなかすばやい
ヌケガケ攻撃だゾ！

うーん、こーなったら、
もっちろん、リッカちゃんも
書く書く書くよォ～♪

オニーチャンッ！

I LOVE U!!
FOREVER!

オトナになったら、
ゼーッタイすぐに
リカのところに
プロポーズしに来てネ♥♥

リカ、ずーっとずーっと
待ってるヨ？

っていうか――

もし来なかったら
リカの方から襲いに
イクよ？

――クスクス♥♥

もう――
オニーチャンは永遠に
リカのモノ♪

ここに証拠のキスをオクリマス♥

ブッチュゥ～♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥

コレで――Promise♪

チャオ～♥　オニーチャン！
永遠にLOVE♥Uダヨッ☆♪＃♥

 

マリーちゃんマリーちゃん
アッチにオモシロイことあるヨ♪

って――

リッカお姉ちゃまに
言われて来たら――

フフ♥

楽しい♪

フェルゼンにヒミツの
メッセージ――

こんなところに
書いてるなんて！

きっとフェルゼンは――
鈍感だから。

一生気が付かないかも
しれないけど――

そんなところに――
秘密の愛のメッセージを
書いておくなんて――

なんだかとーっても
ロマンティックよね♥

きっとこのノートが
歴史の証人として
何百年も先まで残って
後世の民草に――

マリーとフェルゼンの
素晴らしい愛を伝えてくれるの♪

まさにマリーとフェルゼンの
永遠の愛を――

刻んでおくのに
ふさわしい場所だわ!!

ねぇ、フェルゼン――

今世では――

こうしてうまく
巡り会えた私達。

でも――

運命に引き裂かれた
あのフランス革命の
ときのように――

また次の世では――

あなたと離れ離れに
なってしまうかも
しれないから。

だからマリーはこの平和な
２人の時間を――

これからも精一杯大切に
愛しぬいていくことを誓うわ♪

ここにあなたへの
プロポーズを書いておくわね♥

10年後、大きくなったら――

あなたに――
マリーのすべてを
差しあげる♥

あなたはマリーの永遠の恋人よ♪

 

真白きこころにて――

兄じゃになにを
申そうかと――

こうして考えてみると、

意外になにも――
浮かんでこないものじゃな？

――ふむ。

これはおそらく――

もう、わらわと兄じゃの
気質が完全に同化して
しもうたせいやもしれぬ。

もとより同じ血を
持つものとして――

同じ色のオーラをまとい、
同じ力と同じ幻を――

これまでに幾度も不思議な夜を
共にしてきた２人じゃ♥

今こうして――
胸に手を当てて
腹の底をのぞいてみれば、

わらわは――兄じゃの、
兄じゃは――わらわの、

今の気持ちが――
寄り添いて――

手に取るようにわかる
ようではおじゃらぬか？

――フフ。

胸に広がるのは
ただこれからも――

仲良う、楽しく――
皆で暮らしていく――

ただそのことへの
無限の憧れ――

クフフ♥

これからもわらわは
この世に在らぬ物を見、
あの世におわすものを聞いて
暮らしてゆく。

兄じゃはそんなわらわの良き
道連れじゃ♥

そを簡単に手放すことがあろうか？

これからも――よろしく
お頼み申しますぞ、兄じゃ♥

わらわはまるで兄じゃに
憑りつくモノノケの１尾がごとく――

ずーっとずーっと
兄じゃのそばにくっついて
ギュウして暮らしていくのじゃ♪

ラブじゃ♥

 

うわぁ～♥

発見♪

家族日記のノート――

すごい、これ、
まるでお兄ちゃんへの――

寄せ書きみたいになってる！

お兄ちゃんは――
知っているのかなぁ？

でも――そうですよね、

みんなのお楽しみだった
家族日記が終わっちゃって、

いくら――

もうずいぶん長くやって
お兄ちゃんももうすっかり
家族の一員だからって
言ったって――

やっぱりさみしいものは
さみしいんだもん。

こんな風に――
メッセージがかけたら、
ユキもとーっても！！

嬉しい♥

しあわせしあわせ♪

――えへへっ☆

えっと、じゃあ――
ユキはお兄ちゃんに
なんて書こうかな？

えっと――うん。

あのね――

お兄ちゃん♥

ユキは病気が治って
この家に戻ってきて――

お兄ちゃんに出会えたことが
１番嬉しかったです♥

ユキ、お兄ちゃんに会うために――
お病気を治せたような気がするの。

いつもユキに元気と笑顔をくれる
優しいお兄ちゃん♥

これからもずっとずっと
ユキのそばに一緒にいて――

ユキに元気と勇気を
与えてください！

かわりにユキがお兄ちゃんに
お返しできることは
あんまりないかもしれないけど――

せめてずっと元気で――
ユキもお兄ちゃんに笑顔を
見せ続けたいです！

ユキ、これからもがんばります♥

 

星花の敬愛する――
ご主君様のお兄ちゃん♥

この日記に登場してきた
星花は――

これまで少しでも
お兄ちゃんのお役に
たててきましたか？

ご主君様のために
お役にたちたい気持ちは
いつも星花の心の中に
いっぱいで――

はち切れそうな
ほどだったけど、

でも――

関羽様や張飛様のように――
まして貂蝉様のような
特技なんて全然ない――

なんの取柄もない
ただのちっぽけな
小学生の星花だから。

気持ちばっかりで――
結局なんの役にも
立てなかったんじゃ
ないかって――

今はちょっぴり
後悔をしています。

もっといろんなこと、
がんばればよかったな。

カンフーとか
書道とか――

そういうことで
お兄ちゃんの役に
もっとたてたら
よかったのに！

そんな――

ダメダメな星花ですけど、
でも――

お兄ちゃんに会えて、
ご主君様のために
がんばろうっていう
この気持ちを教えて
もらって――

本当に本当に感謝しています♥

日記は終わっちゃったけど、
今度また書くときには
もっともぉーっと！

立派に成長した星花を
見てもらえるように――

星花は学校やお勉強や
習い事や――

いろんなことに頑張って
いこうと思います！

大大大好きな――
星花のお兄ちゃん♥

ご主君様のおそばで――
これからもどうか
ずっとずっと――

あなたをお守りさせてください☆

 

ユキが――

私も何か書いた方が
いいと言うので。

ノートを書きに
きました。

こんな――
不確かな伝達方法で――

あてのない書き込みを
するというのは――

本来私の趣味では
ないのですが。

まあ、いいでしょう。

このメッセージを
キミが見るのかどうか――

私の気持ちが果たして
キミに伝わる日が
くるのかどうか――

たまには賭けを
してみるのも
いいでしょう。

このような場合
確率の計算方法は
数多くあり、
どのような条件設定を
するかでもかなり
結果予測は違って
くるのですが――

この際です。

おおざっぱに
言ってしまえば――

キミがコレを見るか
見ないか――

その可能性は常に
２つに１つ。

その１／２の可能性に
賭けて――

わたしもここにキミへの
メッセージを残します。

私は――

キミのことが好きです。

おそらくたぶん人類の中で１番――。

これまでの調査の結果、
キミの遺伝子は大変興味深く

もし私とキミとの間に子孫を
残すことができるなら――

と願った時もありますが――

……

フフ。

これが伝わる方に賭けたいのか
伝わらない方に賭けたいのか――

私は賭事というものを
したことがないので――

わかりません。

いつかキミに――
この答えを聞けたら――
嬉しいですね♥

私はその時を楽しみに――
気長に待っています。

おにいちゃんすきすき♥

だーいすき！

だからにじこ、

きめてるの！

おっきくなったら――

ぜったいなるのは――

おにいちゃんの
およめさんっ♪

だから――おやくそく！

にじちゃんと

おにいちゃん――

おっきくなったら、
ぜったいぜったい――

ケッコンするの!!

おやくそくやぶったら――
にじちゃん――

ないちゃうよ♥

えーんえーんえーん♪

そしたらおにいちゃんこまって――

にじちゃんとケッコンしてくれるの☆

にじちゃん――
せかいいちかわいい
およめさんになるよ！

きっとぞうさんのフレディも
おいわいしてくれるの♥

ぱおーん♪

うれしいね♥

お姉ちゃんたちが――
みんなでソワソワ。

お兄ちゃん――
なにかあったの？

お兄ちゃん――

もしかしてどこかに
いっちゃうの？

……

う、う、う、うえ――ん！！

そんなの、さくら、
いやいやいや――

もしそんなことになったら――

さくらきっとまいにちまいにち
ないちゃうの。

いっぱいないたら――
げーでちゃう。

お兄ちゃんどこにも――
いかない？

いかないよね？

ね？

……

よかった♥

お兄ちゃん――これからも
さくらのそばにずっといてくれるの♥

さくらね、お兄ちゃんのこと
だーいすき！

お兄ちゃんがいてくれたら――
さくらのなかの泣きむしさん、
いっつもどこかにとんでいくの！

あのねあのね、
お兄ちゃん――

さくら――

ほんとうはまいにち
お兄ちゃんといっしょに
おふろにはいりたいな♪

 

さよーなら！

こんにちは！

おはよー！

ありがと！

おやすみなさい――

――えへへ♥

そら、ごあいさつ――
とってもじょうず！

えらいえらい、ねぇ♥

ごあいさつするこ、
とーってもいいこ！

みはみは、いうよ♥

そらちゃん、えらいえらい、
ごあいさつねぇ～って♥

だから――

おにいちゃんに――
ごあいさつ！

おにいちゃんのにっきさん
ばいばいきーんっ♪

まーたーねっ♥♥

またね、したら――
なかよししるし！

またいっしょに
あそぶんだよ♪

 

夕凪の時間を止める
新マホウは――

どうやらシッパイ
だったみたいだけど――

ま、でもいいんだ！

だって――

何しろ“時間を止める”
マホウってことは――

本当にアレが成功して
時間が止まっちゃったら、

今ごろみんなマンガの中の人みたいに
氷漬けみたいになって――
動けなくなってたかも
しれないって――

後から気づいたんだもーんっ♪

エヘヘ☆

だから――

メゲないモレないマホウ少女
夕凪ちゃんとしては――

今度はここに――

復活のためのジュモンを――
書いておくことにしようって
思いついたの！

だって、夕凪の予想では――

きっとたぶん今から
何週間か後には――
夕凪のマホウパワーが
満月になって――

日記が復活するってことに
なったんだもーんっ♪♪

その時は――
お兄ちゃんも一緒に
パワーを集めて――

復活のジュモンを唱えてね♥

それでは――カギになる
そのジュモンの言葉をココに記します！

えっへん!!　

はっぴーらっきーはねむーん♪
ゆうなのぜんかいらっきーぱわー
これからおにいちゃんのとこに
とんでって――
これからもいつまでも――
おにいちゃんにはっぴーを
ぷれぜんとしちゃうぞ～♥

えいえい、お――!!

お兄ちゃん――ずっとずっと
夕凪のこの言葉、覚えててね♥♥

 

なにこれ――

落書き？

こんな――

せっかくきれいに
終わったノートに

みんな好き放題
書き込んじゃって――

信じられない!!　

小雨ちゃんから――

内緒でこっそり教えてあげる
って言われて
見に来たけど――

結局。

立夏ちゃんのとこからは
もうグダグダじゃない。

ああ、もう――

立夏ちゃんに後を
つけられてたなんて――

ホント――小雨ちゃんらしい
っていうか――

……。

フフ♥

それにしてもみんな
ただ日記が終わった
くらいのことで――

騒ぎすぎ。

私も一時は腹も立ったけど――
でも、もういいの。

だって――始まりには
やっぱり終わりがつきものだし。

なにも日記が終わったからって
あなたが――目の前から今すぐ
いなくなるわけじゃあないんだし。

もし本当にあなたが――
目の前からいなくなったら――

いなくなったら――

……

きっと泣くけど。

……

でも、そういうわけじゃあ
ないんだから――

……

うん。

もし私が最後に１つだけここに書くとしたら。

この私に――

男の人でも少しは
ましな人もいるって――

教えてくれたことへの――

感謝、かな。

今度の休みには――

一緒に江ノ電でも
乗りに行きましょう。

デートには――

向いてる電車――

らしいわ、よ？

フン。

 

にゃーにゃ♥

おっばばおっばおおー♥♥

あいあい、ばっば――！

うんばば――びゅうっ♪

日記が終わっちゃって――
すごくすごく寂しい
春風です♥

くすんくすん――
泣いちゃったら――

王子様――なぐさめてくれるかしら？

それとも――王子様も
今ごろ――寂しくって
泣いちゃってる？

あぁん、もしそうだったら――
春風がこの胸に王子様の
顔をうずめて――

ぐりぐりむにゅむにゅ♥
なぐさめてあげるのに――

きゃあ～～っ、そうなったら
春風最高に幸せっ♥

きゅぅうんっ♥♥♥

それにしても――

日記が終わっちゃってすごく
寂しいのは本当なんだけど――

１つだけ。

イイことがあるかなって
思うのは――

もうこんな風にみんな一緒に
足並みをそろえて王子様と
コミュニケーションを
とるわけじゃなくなるから――

こっそり♥

王子様と春風との――
内緒の秘密が――

作りやすくなるかしら？

っていうこと♥♥

きゃあ～♥

きゅんきゅんきゅぅうううんっ♪♪

ね、王子様――
これからは春風――

この日記に予告したり
することなく――

じかに♥　直接♥　ダイレクトに――♥

どんどん王子様にアタック
していきたいと思ってます♥

どうかどうか――
期待して待っててくださいね♥♥

春風の愛は――永遠に不滅なんです♪

 

なんだ――

終わったばっかりなのに――

こんな風にまた書くなんて――

……

……

なんか――

照れるじゃないか♥

……

もう、言いたいことは――
言ったと思うし。

昨日書いたあれが――

私の思ってるすべてだから。

もうここには書かなくても
いいかなって――

そうも思ったんだけど。

やっぱりみんなが書くなら
私だってオマエともう少し――

触れ合っていたいと
思うのは――

なぜなんだろう？

私は――
そんな未練がましい
人間じゃなかった
はずなのに――

……

私が――
オマエに出会って
変わったように、

オマエも――
私に出会って
少しは変わって
くれただろうか？

ほんの少しでもいい。

オマエの中に
私の中の何かが――

ほんの小さなかけらでもいいから。

残っていると嬉しい、な――。

いつかまた――
輝く笑顔をこの日記で――

確かめ合える日が来ると、
私は信じてる♥

 

この日記が終わっても――
私たちの関係はかわらないし、

この宇宙の営みの中に――

私たちのささやかな
家族日記があるかないかなんて

もう本当に小さな小さな――

桁外れに小さな銀河の片隅の
かすかな塵芥のような
出来事だ。

と――

これまで私はいつも
そう言ってきたけれど――

しかし――

そんなちっぽけな出来事が――

この私たちの生活に
計り知れない大きな
影響を及ぼすことも
あるのだと――

今身をもって知り――
少しだけ寂しい思いを
しているよ。

無くしてみて初めて
わかることがあると
よく世間では言うが――

私も、この日記のなかで――

たまにオマエをからかうことが――

こんなにも楽しみになって
いたとは――

まったく気が付かなかったな――

うん♥

まあ、仕方がない。

そのおもしろさにようやく
気が付いたころ
終わってしまうなどというのは――

世の常だ。

これからは家族として日々
実地に――

オマエをからかって遊ぶとしよう。

なにしろ――
姉弟の絆は――

永遠だからな♥

これからは久遠の時を
ともに楽しむとしよう！

このかぐわしく甘き
あんことともに――な♥

 

もうすっかり――
夜ね。

ええ。

家族日記が終わるのは――
もういいわ。

仕方ないもの。

もう諦めた。

でも――

べつに、
家族日記が終わるからって――
私達、もう一緒の家に住まなく
なるっていうわけじゃないし、

何もかも諦める事なんて――
必要ない、わよね？

……

――うん。

だから――

あれから私――
ちょっと――
考えてみたんだけど。

ほら、その――
なんていうのかな、

個人的な家族日記？

そういうの始めてみるのって
どうかしら？って――

そう思って――

……

あ、まあ、ほかに
やる人がいなくって
２人でやるっていう
ことになれば――
もちろん、それは別名、

こ、こここ――

交換日記とも――

言うかもしれないけど。

……

――あ！

ち、違った、ごめん、
やっぱそれは恥ずかしすぎて
死にたくなるから――

できれば下僕とご主人様の
業務用連絡日誌っていうことに
しておいた方がいいとは――
思うんだけど。

……

どう思う？

まあ――返事は別に
いつでもいいわ。

ただ――なんとなく
そういう可能性もあるって
そう思っていれば――

私もスッキリするっていう
だけのことだから。

はい、これ――
新しい日誌用ノート。

用意しておいたから――
今度はあなたから始めて。

待ってるわ。

だって私は本当はいつだって――

あなたから話しかけられるのを
待って――

いたんだから――

……

この鈍ちんの下僕アタマ。

私にこんなこと言わせるなんて――
ズル過ぎて――

許さないんだから――ね。

 

もうすぐ――
あと30分で。

日付が変わって――
４月になるわね。

世間では
いよいよ――

新しい年度の始まり。

まったくこんな最後の
ギリギリまで――

みんなそろって――

３月いっぱいで
終わっちゃったはずの
家族日記のこの余白の隅に――

ぎゅうぎゅう♥

書き込みをしてるなんて。

どうにも気の合う
姉妹っていうか――♥

これも私たちの最愛の
長男くんに対する――

深い愛情のなせる業、
っていうところかしら？

ウフフッ♥

それにしても――
本当に♥

長い間私たちの
この日記に協力してくれて
ありがとう♥♥

あなたの優しさが――
この日記をずっとずっと
背骨になって支えていて
くれたこと――

私たちはずっとずっと
忘れません♥

あなたを大事に思う
愛する気持ちは――

これからもずっとずっと
途切れることなく
続いてゆくのだけれど。

とりあえずこの
家族日記自体は
もうこれで――

本当に最後の最後♥

だから最後に長女の私が――

ここであなたへの愛と
感謝を捧げます♥

いつも私たちの１番そばにいて――
私たちを見守ってくれて――

私達に愛と力を与えてくれた、
私たちの――最愛のキミ。

キミの愛に見守られて――
私達は信じられないくらいに
幸福でした♥

これからも私達とキミが一緒に進む
家族の道のゆくてが――

いつもキラキラの晴天で
ありますように。

いつも笑顔で――
幸せに――ずっとずっと
仲よく暮らそうね♥

私たちの笑顔はいつも
キミのそばに咲いています――